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車椅子電車評論家・アシトド松井
2022年暮れに車椅子ユーザー2名(1人は手動車椅子利用、もう1人は簡易電動車椅子利用・介助者の同行無し)で、西ノ京から路線バスに乗り奈良公園を訪れ奈良大仏を参拝しました。
その1週間ほど前、郡山城見物に出かけていた著者は(詳細は下記のURLをクリックして前々回のブログを参照して下さいね)
https://ashitodo.hatenablog.com/entry/2022/12/19/183124
奈良公園の下見をしようと思い立ち、近鉄奈良駅に寄り道、路線バスに乗り換え奈良公園を訪れています。
つまり短期間の間に2度、車イスで奈良の大仏様を参拝しているのですが、幅広く・詳細に車椅子利用者・そしてオストメイトに役立つ情報をお伝えするため、2度の体験談をまとめて、ご紹介したく思います。
まず最初に今回の車椅子で行く奈良参拝旅行の関係地図(略図)をご覧いただき、だいたいの位置関係をご理解いただければと思います。何度も見ていただいている方はすみませんね。
なお今回の旅行記に頻繁に登場するのJR奈良駅については、以前に利用してホームへのエレベーターと車椅子・オストメイト対応フル規格トイレがあることを確認しています。
ここからの車椅子旅行記は2022年に著者が訪れたときの状況に基づいています。
1度目(下見)は、近鉄郡山駅から西大寺で乗り換え近鉄奈良駅へ。奈良交通路線バスに乗って長く急な坂道を上って、奈良公園内の「氷室神社・国立博物館」バス停まで送ってもらえました。
近鉄郡山駅での状況
近鉄郡山駅では駅員さんがおられ、渡し板を設置・車内車椅子スペースに案内していただけました。この駅から学生さんで電車が混んできたので助かりました。スロープ通路でホームにアクセス可能、車椅子・オストメイト対応フル規格トイレがありました。
西大寺駅での状況
西大寺駅で大勢の学生さんと共に下車、各方面の列車に乗り換えられるようです。
西大寺駅は京都・奈良・奈良県南部地域・大阪梅田・神戸方面(阪神電車の路線に乗り入れる)そして鳥羽方面(三重県への特急)への電車が乗り入れる、近鉄の巨大分岐点。エレベーター完備で車椅子・オストメイト対応フル規格トイレがありました。
近鉄奈良駅へと向かいます。
車窓から平城京跡がご覧いただけます。
近鉄は新大宮駅までの間は平城京跡を横切って走ることとなり、車窓からはこのような風景を楽しむことが
近鉄奈良駅に到着です。
近鉄奈良駅のバリアフリー情報
近鉄奈良駅ホームは地下2階にあり複数のホームがあるもののエレベーターがあるのは真ん中のホームのみですが、頭端駅でホームの端がつながっており、車いすでも他のホームへの行き来が可能です。多目的トイレは地下1階コンコース階の改札口の外側に車椅子・オストメイト対応フル規格トイレ(上の赤カッコ内の写真)がありました。駅ビルの2基あるエレベーターを使って地上に出られました。
ここから道路を渡って反対側のバス停に行くのですが近鉄奈良駅から奈良公園中心部に向かう坂道の写真が撮影できましたので、ご紹介します。
坂の街で有名な長崎市や神戸市など比べれば大したことないと思われるかもしれませんが、手動車いすでの移動となると大変ですよ。奈良大仏方面に行くには頻繁に運行されている奈良交通の車椅子対応バスに乗車しないと、長旅だと疲れてしまいますよ。
ここでJR奈良駅~近鉄奈良駅~奈良公園周辺のバス停への路線図をご覧ください
多くのバスがJR奈良駅・近鉄奈良駅と奈良公園内のいくつかのバス停を行き来していることがお分かり頂けるでしょうか。私は近年このエリアの路線バスを利用させてもらうことが、何度かあったのですが、体験した範囲では運行頻度も多くまた、すべて車椅子対応路線バスでした。また著者は西ノ京からJR奈良駅・近鉄奈良駅を経由して奈良公園を訪れていますので上の案内図は全てのバス路線を記載したものでは無いようです。
奈良交通のノンステップ路線バス(床下から電動でスロープ板が出るタイプ)に乗せてもらえました。
駅反対側のバス停から乗車します。ところが乗客を降ろすために二ーリング(車体を横に傾けて乗り降りしやすくする機能)された床がバス停の縁石より低く、スロープ板が当たって完全には引き出せなくなることに。わずかな段差が出来ましたが、私は長年の体験からスロープ板は意外に丈夫で、このまま利用しても大丈夫と判断して車椅子をスロープ板に落として、そのまま乗車させてもらいました。
運転手さんから「東大寺大仏殿・春日大社前」のバス停は道路幅が狭く、車椅子での乗降が困難であるから一つ手前の「氷室神社・国立博物館」のバス停で降りることを勧められました。私は以前に「東大寺大仏殿・春日大社前」バス停の歩道が狭いこと、また氷室神社までくれば坂は緩やかで東大寺大仏殿までの距離も短いことを知っていたので指示に従いました。
私って素直な良い車椅子乗客でしょう。
そんなこと自分で言うことか!
2度目(本番?)は、西ノ京にある「薬師寺駐車場」のバス停から奈良交通ノンステップ路線バスに乗ってJR奈良駅・近鉄奈良駅を経由して「氷室神社・国立博物館」バス停に着きました。
1度目の経験があるので、「氷室神社・国立博物館」バス停でおりました。スロープ板が急勾配に感じられたので、再度エンジンをかけて二ーリングをしてもらいました。ここからは2度とも同じ行程になりますので、このバス停を起点として車椅子で行く「東大寺大仏殿への旅」を続けたいと思います。
大仏前交差点をめざします(交差点に面した茶屋で休憩しました。)
大仏殿・春日大社前バス停付近の大きな交差点を大仏前交差点と呼ぶそうです。まずはそこを目指してわずかな坂道を上って行きます。
交差点を横断すると「大仏殿・春日大社前バス案内所」があります。かすが茶屋という喫茶と軽食のお店が入っていて、下見に来た時に車椅子でも入れそうだったので行ってみました。狭い店内でしたが入れ口近くの座席を外していただき、車椅子2台分の席を作っていただきました。奈良県の郷土料理柿の葉寿司をいただきました。鯖のお寿司を柿の葉で包んでいました。
このお店は分かりやすい場所にあるためか、外国人観光客の利用も多いようでした。また下見に訪れたときは、平日の夕方だったためか営業を終えられていました。
大仏殿交差点から参道に入り東大寺大仏殿にむかいます
大仏殿交差点からの参道には自動車は入ってこず、かわりに鹿が待ち受けています。
大仏殿交差点から東大寺大仏殿への石畳は、中央部分が一つ一つが長細く凹凸のない石が隙間の無いように敷き詰められておりこの通路(以下このブログでは便宜上車椅子用石畳通路と記載しますね。)に沿ってゆけば手動車椅子やベビーカーでも楽に移動できます。
まずは周囲の鹿さんに「鹿せんべい」を配ってあげることに、ところが
同行してくれた手動車椅子ユーザーの話によると、車椅子利用者は頭の位置が低いため動物と目線があってしまうことが多く、因縁をつけれれ?吠えられたりすることが多いとのことでした。
南大門前で写真を撮ってもらっていると
やっぱり鹿さんに邪魔されてしまいました。
南大門の間近まで直進していたら有名な2体の金剛力士像が見られたかも?
東大寺ミュージアムを見学させてもらいました
上の写真の左側の赤カツコ内は館内のエレベーターを下ったところにあった車椅子対応トイレ、右側の赤カツコ内は正面入り口にあった大仏様の手のモニュメントです。
簡易電動車椅子で入館しようとしたところ、手動に切り替えることを求められました。「なにか事故でもあったのですか」と伺ったところ、事故防止のため電動車椅子はニュートラルにして介助者に押してもらって入館してもらっているとのこと。展示場内にはいると文化財指定されている仏像多数をあまりにも近くで見学でき、電動車椅子の操作ミスでの文化財の破損などに気を使っておられるように感じられました。手動に切り替えた電動車椅子を手で操作するのは、リハビリ不足の私には車輪が重くて大変でした。
なお館内入り口に
館内の休憩所 ミュージアムショップ お手洗いは無料で入場できます。
という案内板がありました。
東大寺大仏殿に着きました
大仏殿の左側の車椅子用石畳通路にそって大仏殿に入るためのスロープ通路に向かいます。
上の写真赤カッコ内のような「車椅子入口」の案内板があり、見落とさなければ迷うことはないと思います。スロープ通路の前には鉄製の引き戸がありインターフォンを押して連絡、カギを解除してもらい参拝者自身が手であける方式でした。上肢にも障害のある車椅子ユーザーは介助を求める必要がありそうですね。
長い旅行記だったね、やっと大仏様が拝めるね。
スロープを下って回廊にはいると、係りの方が出迎えて下さいました。確か拝観料はここで支払ったと思います。大仏殿を背景に写真を撮っていただきました。
一般の参拝者が回廊に入らないようにするためか、車椅子用の通路から出入りするところに低い木戸が設けられており、簡単なカギを手で外して大仏様の側面にたどりつけます。上肢に障害がないのに手間取っていると親切な方が開け閉めをして下さいました。
なおここまで紹介した「車椅子入口」からのスロープ通路や回廊で、何組かのベビーカーを押すお父さん、お母さんをみかけました。車椅子専用ではなくベビーカーでも利用できるようです。
奈良の大仏様を参拝します
お願いして入ったところで写真を撮ってもらいました。
同じ写真を2度もお見せしてすみません。多くの寺院ではお堂内の仏像の撮影は禁止されているのですが、大仏殿では三脚の使用など他の参拝客の妨げにならなければ認められているようです。
大仏様を時計回りに巡って正面から参拝できました。
大仏殿の最寄りの御手洗(車椅子・オストメイト対応フル規格トイレ)を使います
大仏殿内にはトイレが無いとのことで利用者が多いと感じました。
車椅子用スロープ通路から見た御手洗と赤カッコ内は内部にあった車椅子・オストメイト対応フル規格トイレ(オストメイトの排便・排尿姿勢に配慮した設備のものをアシトドのブログ・ホームページではこのような名称で紹介しています)のようすです。
過去にも何度かこのトイレを利用させてもらったことがあるのですが、あまりにも便利な位置にあるためか、多目的トイレが使用中だったり、汚れて使えないなどということもありました。目的地から遠いところでも障害に応じて使えるトイレを見つけたところで済ませておくことが、車椅子ユーザーやオストメイトの旅行・外出では大切なように思います。
地元案内図で位置を確認しましょう
南大門から大仏殿までの地図です。
赤カッコが車椅子・オストメイト対応フル規格トイレがあった御手洗い
黄カツコが「車椅子入口」大仏殿への回廊に入るスロープ通路の位置を示しています。
大仏殿をあとに路線バスに乗って近鉄奈良駅に戻ります
先ほどバスをおりた、「氷室神社・国立博物館」のバス停の向かい側だと思うのですが、名称は「東大寺大仏殿・国立博物館」となっていました。
まもなく帰宅する大勢の観光客の方(外国人も多数)が次々と来られて、順番が分からなくなり車椅子やと何所にならんどったらいいねん状態におちいってしまいました。
やってきたバスに車椅子ユーザーが乗りたがっているとアピースするのが大変でした。
ノンステップバスがやって来たものの、まずまずの混み具合で車椅子2台の乗車は大変そう。運転手さんは「後ろから循環系統がきているので、そちらに乗ってほしい」といわれるが、とっさに車椅子ユーザー1人ずつが乗ったほうがバスの運行がスムーズにいくのではと判断、近鉄奈良駅で落ち合うことにしてバス2台に分散乗車しました。
ところが路線の違うバスだったことから、降車時のバス停が近鉄奈良駅を囲んで別々のところになり迷子になってしまいました。携帯で連絡を取り合い10分程度後になんとか集合できました。
近鉄奈良駅を出発、食事をとるため西大寺駅で下車します
以前に利用した、西大寺駅前にある近鉄百貨店の入ったショッピングセンター(ならファミリーというらしい)のレストラン街が良かったことと車椅子対応トイレの心配もないので、そこで夕食をいただくことにしました。
奈良観光から京都・大阪・神戸方面へと大勢の方が家路につかれるようで、電車は大変混みました。西大寺の駅員さんに一般乗客が乗り降りするわずかな隙間時間で降ろしてもらいました。
西大寺駅はエレベーター、車椅子・オストメイト対応フル規格トイレ完備(赤カッコ内の写真)。二階改札口内の駅ナカ・ショッピングセンターが充実していました。
また食事をするため「ならファミリー」に向かう横断歩道が2022年夏に起こった大事件の現場(青カッコ内の写真)でした。
遅い時間になったためか、西大寺駅からの近鉄電車はすいていました。
京都駅でJR在来線に乗り換えるのですが、新幹線が止まっていたらしく駅は乗客でいっぱいでした。問い合わせに追われる中、駅員さんにスロープ板の介助をいただき、家路につきました。
従来ならここで旅行記が終わるのですが、
自動車を運転して移動する車椅子ユーザーにも配慮したブログにするため、1日目の下見のときに訪れることのできた「大仏殿前駐車場のバス停」の周辺状況を少しだけご紹介しますね。
氷室神社・国立博物館前のバス停近くに「夢風ひろば」というショップ・レストラン街があり車椅子対応トイレが確認できました。ここを利用するのもいいかもしれませんね。通り抜けると大仏殿前駐車場の横を通って大仏殿に向かうことができました。
大仏殿前駐車場にはバス停があり「くるっとバス」という路線バスが運行されていました。なお運行されているバスの形態(車椅子対応であるかどうか)は確認できていません。バス停の近くに車椅子対応トイレがありました。
2022年にネットで調べたところ「県営大仏殿前駐車場」の一般乗用車の受け入れは廃止されています、というあとに「車いす優先駐車区画」が設けられていますとの記載があるサイトをみつけました。駐車場利用に関する条件等も変わっているかもしれませんので、事前に電話等で確認されることをお勧めします。
大仏殿までの車椅子用石畳通路を利用しようとすると鹿さんの群れに阻まれてしまいました。
ほかにも奈良公園の鹿さんたちは車椅子用石畳通路の上に💩や、お小水を残されたり。特に手動車椅子利用の場合は車輪から手についてしまうので、注意が必要ですね。
あなたたちには、車椅子の障害者を思いやる人間らしい気持ちはないのか!
だって私たち人間じゃないもの。
この車椅子旅行記は2022年に著者が訪れたときの状況に基づいています。
お伝えしたいことが多すぎて長い旅行記になってすみません。
オストメイト兼任の私的には鉄道の駅と大仏殿の最寄りの御手洗以外にオストメイト対応トイレが確認できなかったことが少し残念でした。
最後まで「公共交通機関で行く車椅子・奈良大仏参拝」の旅行記にお付き合いいただき、ありがとうございました。私は他にも興福寺や奈良国立博物館そして春日大社の手前まで簡易電動車椅子で上った経験があるのですが、それも書き加えると読んでいただいても分からなくなりそうですのでこのあたりで終わります。
施設別にバリアフリー状況を紹介したサイトは多数あるので、車椅子での公共交通利用旅行の詳細を案内したブログにしたかったのですが、記載方法を再検討をしなければいけないかもしれませんね。
これに懲りずに、次回の車椅子での少しマニアックな公共交通利用の旅行記をご覧いただければ嬉しく思います。
やたら物事を書きすぎたレポートを提出して先生を困らせた
車椅子電車評論家・アシトド松井