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車椅子電車評論家・アシトド松井
近年「全国車いすアクセスマニア集会」でいっしょに講演させていただいた車椅子旅行仲間を失い、いつまで外出が続けられるか不安を感じ始めた著者は、JR西日本の社員の方が在来線を走る「新快速電車に乗ればじゅうぶんですよ」というアドバイスを無視。2023年春に京都から新神戸まで新幹線に乗って、神戸観光に向かいました。
今回の参加者は、車椅子ユーザー2名(1人は手動車椅子利用、もう1人は簡易電動車椅子利用で同行介助者はありません。)です。
まず最初に新幹線・新神戸駅から今回の車いす旅行記に関係する鉄道路線と駅の地図を作りましたのでご覧ください。
細かい文字になってしまいすみません。駅の大体の位置関係がお分かりいただければと思います。また略図ですので全ての駅を記載しているわけではありません。
車いすで乗る新幹線・京都駅から新神戸に向かいます。
案内図でJR京都駅の在来線から新幹線への乗り換え経路をご紹介しますね。
赤い▢は確認できた、車椅子・オストメイト対応フル規格トイレの位置を示しています
2023年の時点では西側にある跨線橋または自由通路(共に2階)を使わなければ、階段等に阻まれるため車椅子で新幹線ホームにたどり着けません。
私がJR京都駅を利用し始めた当時は、在来線に荷物用エレベーター専用の跨線橋が西側にあり、奈良線ホームの地下の暗くて長い通路をぬけて、東側の端にある新幹線ホームの荷物用エレベーターを使わなければなりませんでした。
なお上の案内図はJR西日本の在来線構内にあったものに、私が確認した車椅子・オストメイト対応フル規格トイレの位置を赤い▢でコンピューター上で書き加えたものです。京都駅の新幹線はJR東海、そして近鉄は別会社となるので、多目的トイレやエレベーターの位置を書き込んでおられないように思います。
新幹線改札口内(2階)に車椅子・オストメイト対応フル規格トイレがありました。
エレベーター(なんと一般乗客用だよ!)で京都駅・新幹線ホームへ
のぞみ号で新神戸へと向かいます。
西に向かう「のぞみ号」に渡し板を使って乗車させてもらいました。
乗せてもらった「のそみ号」はN700S系で車椅子スペースが2席分のタイプでした。
先ずはアシトド恒例、車両のバリアフリー状況チエック
通りかかった車掌さんに多目的室の鍵をあけてもらい、内部をみせてもらいました。座席は引き出せばベットになります。同行介助者や授乳を行う方のためのパイプ椅子もありました。
N700系以降の東海道・山陽新幹線車両の多目的トイレは通路側に曲線状に広くはみ出すかたちに造られるようになり、車いすでの入室が容易になりました。
上の写真左端に写っているのはオストメイトの方のためのトイレです。オストメイト(人工肛門)でもある私はパウチ内(便や尿がたまる袋)の汚物を流すのに使っています。
今回は新幹線への乗り換え時間が読めなかったこと(車椅子での鉄道乗り継ぎは予定通りにいかないことがあります)と資金繰りの問題で指定席は取らずに、車椅子で乗れる広い扉のある11号車のデッキに乗せてもらいました。
乗車時に、「自由席の何号車にしますか?」と質問されてしまいました。トラブルを避けるためにも自分の乗る新幹線や特急車両の何号車が車椅子ユーザーに対応しているかぐらいは調べておいた方が良さそうですね。
2022年に体験したN700S系車両とJR東海さんが車椅子乗客用につくられた案内を紹介したブログがありますので、下記の文字をクリックしてご覧いただければ幸いです。
車いすスペースが6席あるN700S車両の新幹線に車椅子で乗車しました。
こんな事を書くと今さら愚痴になりますが、「300系初代のぞみ号」以降の新幹線車両は床が高くなりホームと車両の段差が大きくなったのではと感じています。100系や200系新幹線には単独で乗降できていましたよ。
車いすの乗客と共に新幹線が新神戸駅に着きました。
新幹線・新神戸駅はトンネル間のわずかな場所にホームがもうけられて、神戸の中心街・三宮からは急な坂道を上った山沿いの場所にあります。
新幹線・新神戸駅にあった構内案内図を使って駅のようすをご紹介しますね。
赤い▢はコンピューター上で書き加えたもので、確認できた車椅子・オストメイト対応フル規格トイレの位置とその形態を表示しています。写真左端に青い▢で囲った矢印の方向にある歩行者専用の連絡橋を渡って新神戸オリエンタルシティ(複合商業施設・案内図にはクラウンプラザ神戸と表示されていました)に入り、エレベーターを利用させてもらい、神戸布引ロープウェイ・ハーブ園や、神戸市営地下鉄・新神戸駅に行くエレベーターに乗り換えることができます。
また平成22年(2010年)新幹線・新神戸駅の山手側に布引の滝に通じる道があり、4つある滝の1つ「雌滝」まではかなりの急勾配ですが、車椅子で上ることができました。
詳しくは下記のURLをクリックりてご覧下さいね。
https://ashitodode.gozaru.jp/takimeguri002.htm
このブログとは逆に、JR三ノ宮駅から新神戸駅に向かう行程になっていますので、 車椅子利用者がJR在来線・阪急電車・阪神電車を利用して新神戸エリアに来られる場合の参考にはなると思いますよ。
歩行者専用の連絡通路を渡って新神戸オリエンタルシティに入ります。
連絡通路を渡つてすぐ右側の壁ぞいにエレベーターがあり、神戸布引ロープウェイ「ハーブ園山麓駅」に続く坂道のある階に降りられます。新神戸オリエンタルシティにあった案内図をおかりして、位置関係を確認してみましょう。
青い▢は連絡橋の位置を、赤い▢の写真は連絡橋から新神戸オリエンタルシティに入つてすぐにエレベーターに向かうようすを紹介しています。確認は出来ていないのですが新神戸エリアは急な傾斜地にあるためエレベーターによって地上階(1階)の位置が異なるようで、油断していると何度もエレベーターを乗りなおすことになりそうですよ。
「ハーブ園山麓駅」から神戸布引ロープウェイに乗せてもらいます。
「ハーブ園山麓駅」までの坂道は急勾配、以前は駅まで上り切らなければならなかったのですが、途中にエレベーターが設けられています。
少し前に訪れた時にはエレベーター横の階段(写真右端)まで観光客の列が続いており、車イスでは並ぶことができず、最後尾の方に「この後ろに並んでいることにして順番が来たら入れてほしい」とお願いしたことがあります。
ハーブ園山麓駅で車イスでゴンドラに乗降するようす
本当はハーブ園山麓駅から乗り込むようすを撮影したかったのですが、撮っている著者も次のゴンドラに車椅子で乗り込まなければならず手振れをおこしてしまい、戻って来てゴンドラから降りるときの写真を使わせてもらいました。車椅子やベビーカーでも乗降しやすくなつていることがお分かりいただけると思います。
神戸布引ロープウェイからの景色を楽しみましょう
左に見える三角屋根の高い建物が先ほど利用させてもらった新神戸オリエンタルシティ
です。逆光になって良い写真ではありませんが、神戸の街が眺められることが、お分かりいただければ。
車いすではたどり着けなかった布引の滝(雄滝)も空中から見ることが出来ました。
車椅子では階段の続く山道でたどり着けなかった、布引の滝(雄滝)を見ることが出来ます。ゴンドラが通過するわずかな時間なのですが、それでも「車椅子の滝マニア」の私にとっては至福の時です。
ゴンドラは「風の丘中間駅」を経て「ハーブ園山麓駅」に約10分で到着します。
「ハーブ園山頂駅」から神戸布引ハーブ園に入ります。
「ハーブ園山麓駅」前にある展望レストハウスを背景に記念写真をお願いしました。
写真後方の展望レストハウス2階にはレストランがあり、エレベーターを上がったところに車椅子・オストメイト対応フル規格トイレがありました。今回確認できた唯一のオストメイトトイレです。
神戸布引ハーブ園に入りましたので、案内図を使って位置関係を確認してみましょう。
右上の赤い▢は今回確認できた、車椅子・オストメイト対応フル規格トイレの場所は展望レストハウス2階にあるレストランの入り口近くにありました。案内図のように車椅子対応トイレのマークが各所にあるので、他3ヶ所のぞいてみたのですが、赤い▢の場所以外は車椅子対応のみでオストメイトトイレはありませんでした。
案内図に示された青い通路は「ハーブ園山麓駅」近くから「風の丘中間駅」をガーデンエリアを通つて階段がなく車椅子で降りられるのですが、手動型の車イスでの利用はご遠慮いただいているとのこと(丁寧な言い回しだけど要するに禁止だと思う)
私はまだ禁止されていなかった平成5年(1993年)手動型の車イスで「風の丘中間駅」までガーデンエリアをくだったことがあるのですが、下の写真のような急勾配をシュプールを描き、ブレーキをかけての連続で取り換えたばかりのタイヤの溝が無くなったことを覚えています。
その後「禁止」されているので、ケガをした方が出たなどの問題が起きたのかもしれませんね。
案内の方に確認したところ、電動アシスト介助型車イスの貸出を行っているそうですが、車イス利用者単独での利用は無理なよう。ガーデンエリアはハーブや多くの花が植えられていて植物を楽しむには素晴らしい場所だったと記憶しているので残念でした。
ガーデンエリア園路の急斜面を体験している私には車椅子利用者に見せるためのギリギリの対応をなさってくださっているように感じました。
1993年当時の私は若くて元気、そして無謀でしたね。
当初は神戸中華街「南京町」で食事する予定だったのですが、トイレの心配が無くなったので、展望レストハウス2階のレストランで昼食をとりました。ハーブを使った料理を楽しみました。
減量指導の理学療法士さんすむません、トマトパスタになりました。
森のホール・香りの資料館などを見学ののち、「ハーブ園山頂駅」にもどり
ロープウェイに乗車、神戸布引ハーブ園を後にします。
ゴンドラから駐車場(案内には一般の駐車場はございません。となっていました。)が見えましたので行ってみました。
車いすマークのあるスペースに2台の自動車が止まっていました。ドアを全開して車椅子に乗り移る幅は無いように見受けられ。運転された方が、車椅子利用者を下ろしてから駐車されているのではないかと思いました。私自身は自動車で訪れていないのでこれ以上のことは分かりませんでした。
神戸市営地下鉄(西神・山手線)新神戸駅から三宮駅へ向かいます。
先ほど神戸布引ロープウェイへの坂を上り始めたところ(入口)手前のエレベーターを使って、神戸市営地下鉄・新神戸駅、改札階に降ります。
改札口を入ってすぐのところに、車椅子・オストメイト対応フル規格トイレがありました。さらにエレベーターに乗りホームに降ります。
神戸市営地下鉄(西神・山手線)のホームと車両の段差・すきま解消
新神戸駅から神戸市営地下鉄の西神・山手線を利用するのですが、車内の掲示を見ると
バリアフリーの観点から、令和5年度末までに、ホーム柵の設置に合わせて、ホームと車両の段差・すき間を縮小する工事を西神・山手線、北神線の全17駅で実施します。
と紹介されていました。
くし状ゴムによる段差・隙間解消については、大阪メトロ梅田駅で体験していたのですが、全線規模の工事を行われるということで、楽しみです。
地元の者ではなく旅行者だと説明したため、地下鉄利用に慣れていないのでは?と心配していただいたのか、駅員さんが介助にきてくださいました。
海岸線に乗り換えるため三宮駅まで乗車します。
神戸市営地下鉄海岸線に乗り換え、神戸中華街「南京町」そしてハーバーランドへと、車椅子での公共交通機関利用の旅は続きます。
次回のブログにつづく。
車椅子で行く神戸観光 南京町からハーバーランド・アンパンマンこどもミュージアムへ
久しぶりの新幹線乗車に興奮冷めやらぬ
車椅子電車評論家・アシトド松井