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車椅子電車評論家・アシトド松井
飛行機には1993年頃に「車いす利用者とその家族」用の特別なツアーに申し込み、羽田空港から北海道旅行に出かけたのが最初で、1995年にYS11という国産初のプロペラの旅客機に職員の方にタラップをおぶって機内の座席までつれていってもらって高知に行ったり、少ないながらも車いすでの飛行機の旅はそれなりの体験をさせてもらっています。
飛行機内のトイレについては車いすマーク(正式には障害者のための国際シンボルマーク)の表示があることに気づいて、A320とB777-200という二つの機種で利用を試みたのですが、足が曲がらず背骨が変形して小さな機内用車イスでは座位が保てなかった私には利用することはできませんでした。
2013年以来、飛行機には乗っていないのですが機内トイレについてはあまり改善されていないようで、アシトドのHPの飛行機での体験記事もいまだに上位に検索されていて、この状況は車いす利用者の立場からすれば好ましくありません。再度「飛行機トイレ」に特化したブログを作成し、車いす利用者の飛行機の旅を考えてみたいと思います。
この記事は2013年までの搭乗体験に基づいています。最新の情報ではございませんのでご注意くださいね。
■車いすマーク(飛行機内では障害者のための国際シンボルマークとして付けられているのかも)の表示があっても飛行機内トイレが利用できるとは限りませんよ。
機内トイレで車いすに対応しているというのは、一般的な車いすに比べてはるかに小型で座面も狭く幅の狭い「機内用車いす」で入室できるトイレという意味だそうです。そのことをご留意の上、以下の記事をお読みいただければ幸いです。
機内に入るための車椅子に乗換える必要があります
車椅子利用者が飛行機に乗る場合、他の公共交通機関と大きく異なることがあります。それは機内に入れる車椅子に乗換えて搭乗しなければならないということです。飛行機に乗られると気づかれると思いますが 通路がたいへん狭く、普通の車椅子では座席にたどりつけません。また離着陸・乱気流や不時着の安全確保もため固定の座席でベルトを着用が必要となり、車いす用のフリースペースなどは無いようです。
機内の通路の幅を広げていただければ、車いす利用者の飛行機利用時の負担も少なくなるのですが、民間企業であれば当然ですが座席数を多く確保しなければならない経営的な問題、シートを広くして豪華なものにして通路幅が広げられないなどの理由があるように思います。
後輪が取り外せてひじあても邪魔にならないように出来る「搭乗用車椅子」に乗換える必要がでてきます。アメリカの同時多発テロでは小さな刃物が用いられたときいていますが、車イスは大な金属製品を機内に持ち込むことになるわけですからテロ対策という側面もあるかもしれません(考えすぎかも?)。自分の車椅子は貨物室に乗せてオーナーとは別室でのフライトとなります。
飛行機を利用する際に使われる車椅子には、空港から飛行機に乗りこむ際に使われる車椅子(空港に準備されていて飛行機のドアが閉まるまでに空港に戻される)と、機内でトイレに行くときなどに使われる飛行機に積み込まれている車椅子などがあるそうです。正式な名称と異なるかもしれませんが、このブログでは空港で用意される車椅子を、「搭乗用車椅子」、機内に準備されている車椅子を「機内用車椅子」という名称で説明します。
最初に「自身の車イス」から飛行機内トイレを利用する際必要となる「機内用車イス」への移動のようすを確認しておきましょう。
❶飛行機に乗るとき使わせてもらうことになった車椅子について
飛行機に乗るときに自身の車イスがら「搭乗用車いす」への乗り換えて車輪を外して機内へ、そしてフライト中(扉が閉じられている間)飛行機内の車いす対応トイレへの移動は「機内用車いす」を使って移動させてもらうことになりました。
搭乗用車椅子
搭乗用車椅子にもいろいろな種類がありますが、 基本的には機内に入る直前に後輪が取り外され、 ひじあても機内通路を通る際じゃまにならないように後方に曲げられる等の構造になっていました。
飛行機の扉が閉められフライト開始、そして到着した空港で扉が開かれるまでは「機内用車いす」で移動することとなりました。
機内用車椅子
飛行機内に用意されていて、フライト中(飛行機の扉がしまって、目的地の空港に着き扉が開くまで)の機内の移動のために使用される車椅子。著者が体験させてもらったものは、搭乗用車椅子より座面が狭いという印象でしたが、小さなひじ当て(アームレスト)がついていて、身体が変形して座位バランスの悪い著者にはひじ当てが無い搭乗用車椅子より有りがたいものでした。ベルトもついていました。ただ足の曲がりも悪い著者の障害レベルでは足を床に引きずってしまって移動は困難でした。事前に足をくくって、自分の腕で引き上げられるなどの工夫も必要だと感じました。車椅子の規格決まっていてどうにもならない現実があるのなら、一度ためして困ってみて、自分の障害レベルで対応できる工夫を障害者側が考える必要もありそうです。全ての障害者がそうできるわけではないでしょうが。
(2013年の段階で体験した感想です)
機内用車イスは大きな車輪を付ける構造にはなっておらず、狭い飛行機内の通路を客室乗務員の介助をうけて最低限の移動ができるようにつくられていました。
まあ飛行機内だからトイレ以外に行くところも無いでしょうけど
❷B777-200という飛行機の車いす対応トイレ
搭乗したという証拠として掲載しますね。
❸A320という飛行機の車いす対応トイレ
搭乗した証拠として掲載しますね。
一般の乗客よりも先に搭乗させてもらったので、機内の車いす対応トイレを使わせてもらおうとするのですが、トイレの周囲は冷蔵庫などもおいてあって、扉が閉まらなくてもカーテンを閉めれば広さは確保できるとの説明だったけど、ここで用をたしてよいものなのですか?
あまり車いすで飛行機内トイレを使う方がおられないのか、客室乗務員の方が開く扉が妨げになる側に車椅子を誘導されてしまい、動けなくなり。一般乗客の搭乗が始まり座席に戻ることが難しくなってきたので利用を諦めることにしました。
帰りも同じA320に登場してクルーも同じ方だったので、お願いして機内用車イスをトイレに入れてもらって、写真をとってもらいました。後ろの洗面台が邪魔をして機内用車イスがトイレ内に入りきらないようですが、洗面台側に向かって車イスを入れれば扉を閉めることが出来そうです。ただしトイレ内は非常に狭い、多少立てる障害レベルの方で無ければ便座への乗り移りは不可能ではないかと思われました。
両機種でいろいろ試したものの、背骨が変形して座位バランスが悪く、足が曲げられず引きずっての機内用車イスでの移動は困難と判断した私は、飛行機内の(車いすマークの付いた)トイレを利用することを諦めてしまいました。運動能力(残存機能)が優れている同乗して下さった車椅子ユーザーはB777-200の機内トイレ(車いすマークの付いた)を利用することが出来ました。
機内トイレの利用を諦めた方には、カテーテルから尿をためる袋を足につけたり、下の写真のような道具を使われる方もあるといううわさ話が。
あんたがそそのかしてるんじゃないでしょうネ!
とりあえずの私の結論
車椅子利用者と一口にいっても残存機能・障害の程度は千差万別です。少しなら立てたり・歩ける方もおられれば、自身の車イスでなければ座位バランスを保てない方もおられます。そのことを考慮せずに飛行機内のトイレを車イスで利用できるかどうかを一般論として語るのは現実的ではありません。飛行機に乗られた際に自身でためされ、残酷ですけど困ってみることも車椅子ユーザーが行動範囲を広げたり、あるいは自身の限界を見極めるうえでは大切かもしれません。
アメリカ合衆国で機内の車イスを使いやすくしようとする動きや、すでに隣り合ったトイレの壁を開けて中を広くする機内トイレもあるようですが、狭い機内で地上のバリアフリートイレのような広さと設備を求めることは難しでしょう。
この記事は著者が最後に飛行機に乗った2013年までの状況に基づいたもので、最新のものではありません。参考程度にご覧いただき飛行機の旅は大幅に改善されて(いれば良いのですが)いるかもしれませんので、独自の情報収集をお願いいたします。
このブログは2013年以降に作成していたアシトドのホームページを元に「飛行機で車いす利用者がトイレを使えるかどうか」というテーマで再度作成したものです。
写真は小さなものになりますが、飛行機への搭乗方法などを含めてご紹介したページがございますので、こちらもご覧いただければ幸いです。
☞車椅子で飛行機に乗って旅行する(アクセス解説飛行機編1) 2ページあります
過去の原稿を使ってブログづくりの手を抜いたのでは?
長時間トイレに行けないことを恐れて、車いす生活になってから外国旅行に出かけたことが無い
車椅子電車評論家・アシトド松井