☞アシトドのブログのメニュー画面 へ
車椅子電車評論家・アシトド松井(オストメイト兼任障害者)
車いす利用者のための新幹線関係のブログを一覧表にしました、こちらからもご覧板ただければ幸いです
2022年に車椅子に乗ったまま客室にはいることを前提とした車いすスペース(座席を取り外したフリースぺース)のある新幹線に乗車することができ、日本の新幹線もついにその段階に来たのか(外国の新幹線車両では以前から車椅子に乗ったまま客室にはいれるスペースが確認されていました)と感動しました。
実はこの中の1つは日本の新幹線車両をベースにつくられていたそうです。
それってダブルスタンダードで言うんじゃないの?
そこで以前アシトドのHPで作成していた「車椅子旅行者のための新幹線車両図鑑」の改訂版をつくることにしました。従来のHPは下記の☞をクリックしてご来意下さいね。
☞車椅子旅行者のための新幹線車両図鑑001(東海道・山陽新幹線)
☞新幹線で車椅子旅行するための車両図鑑002(東日本編)/つばめの情報有り
オストメイト対応トイレが普及していない時代の新幹線車両ですので車いすユーザーの視点からのみのバリアフリー情報の「新幹線図鑑」になります。このブログに掲載している新幹線車両の多くはすでに運行を終えています。車両の廃止、途中から車内の改良なども行われていますがそのあたりはご了承いただいて、東海道山陽新幹線でこのような車両が運行されていたのだ程度にご覧いただければ幸いです。
このブログでは時速300キロの高速運転を実現した500系新幹線をバリアフリーという視点からご紹介いたします。
🟠500系ハローキティ新幹線
(山陽新幹線で「こだま」として運行)
500系ハローキティ新幹線については2023年の乗車体験時の状況に基づいています。
❶500系新幹線への車椅子での乗車のようす
扉の中・入ったところに出っ張ったレール(高速運転のため扉を閉めた時に気密性を高めるためだと思われる)を超えるため特別な渡し板を用意して下さいました。
駅員さんからお伺いしたところ新大阪駅では「500系新幹線専用の車いす渡し板」を準備されているそうです。上部の形態が工夫されているようです。
その理由は扉の下に出っ張った部分(写真下の黄色く写っているライン)があり、平らな渡し板では、車椅子の前輪(キャスター)が引っかかるため、渡し板の先端部が下がっている構造になっているようです。
❷500系ハローキティ新大阪では内部にも装飾されていてファンシーな世界が広がる
車両の外側だけ装飾されていて、内部は普通の塗装という電車には何度か乗ったことがあるのですが、ハローキティ新幹線では内装も充実、車内も華やかな雰囲気に。
❸500系新幹線の車いす対応座席は2席分
車いすスペース(移乗席あり)と説明されるのかもしれませんが、車椅子を折りたためなければ充分な通路幅が確保されるとは思えず。私には「車イスをそのまま置くスペース」という意味にとられかねないこの表現には違和感があります。
座席のアームレストが上げられるのは、1席だけでした。まだ500系が東海道新幹線で「のぞみ」として運行されていたときに、座席に乗り移った経験があるのですが、時速300キロという高速運転を実現するために丸くつくられた車内の座席は狭く感じられる印象でした。
壁面が丸くつくられまるで飛行機内のような客室
❹500系新幹線の通路は車両中央を直線で通りぬけます
車両中央に直線にもうけられた通路の両側に多目的トイレと多目的室がありました。
通路側に曲線状に広げられ室内を広くした多目的室・多目的トイレが設けられるのはN700系新幹線以降の車両になります。
❺500系新幹線の多目的室
曲線状に拡げられていないのですが、標準規格の新幹線として車両の幅が広いので、在来線特急の多目的室に比べれば使いやすいものでした。壁は丸みをおびで上に行くほど狭くなり小型の飛行機に乗っているみたいな圧迫感はありました。
❺500系新幹線の多目的トイレ(オストメイト対応はありません)
私の車いすでは切り返しが必要でしたが、わりとスムーズに入ることができました。
子ども用のおむつ交換台も設置されていますので、確かに多目的トイレなのですがオストメイトに対する配慮は有りませんでした。日本初のオストメイト対応トイレが設置されるのは1998年、500系新幹線が営業運転を始めたのは1997年のこと。車両の製造はそれ以前になりますので、オストメイトのためのトイレは設置するという発想が出てくることはありえない時代でした。
新幹線車両のオストメイト対応トイレ設置もN700系以降に実現することとなります。
🔵500系新幹線(従来仕様)
2023年新神戸駅で思いがけなく、従来の塗装の500系新幹線を撮影でき、東京・博多間で「最高時速300キロの営業運転」を体感したときの感動がよみがえりました。そこで「のぞみ」として東海道新幹線でも運行されていた当時の写真も掲載しますね。
写真のような渡し板が使われていました。ハンドル型車イスの乗車が全く認められていない時代があり、3輪の車いすの利用は想定されていなかったのだと思われます。
営業運転時速300キロを実現した500系は姿かたちの良い素敵な外見の新幹線でした。しかし高速運転で空気抵抗を最小限にするためにつくられたと思われる丸みを帯びた車体・鋭利な先頭車両の前方部分には乗降用の扉すらもうけられず、さらに高コストだったとうかがっています。バリアフリーの面でも扉のレールに段差があったり、車内スペースが狭く感じられました。
私には超音速で飛行出来できても機内が狭く騒音問題もあり活躍の場がすくなかたヨーロッパの旅客機
コンコルドを思い起こさせる新幹線車両でした。
飛行機と新幹線を対比した論評が書ける総合乗り物研究家
パウチの破裂がこわくて飛行機はあまり乗れず、コンコルドは見たこともない癖に偉そうにするな!
車椅子電車評論家・アシトド松井
(注釈)パウチとはオストメイトが排出物をためる袋のことです
☞アシトドのブログのメニュー画面 へ