アシカなくてもトドまらず

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オストメイトで車椅子生活をやっています

パウチと「オストメイト」シンボルマークと車椅子で
オストメイト対応トイレを調べているようす

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車椅子電車評論家・アシトド松井(オストメイト兼任障害者)

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アシトドのブログをご覧いただいたヘルパーさんから、「楽しい話ばかりじゃなくて失敗談なども入れた方が障害者の生活の現実が伝わるよ」というご意見を頂戴しました。私にとっての失敗談は車いす生活からではなくオストメイトを兼ねていることを原因としたものが圧倒的に多く、旅行好きのくせに飛行機に長時間乗ることを嫌がり外国旅行に行けないのも、フライト中にパウチが破裂した場合、狭い機内用車イスに乗り換え、狭い機内の車イスが入れると称されているトイレにたどり着くまでに悲惨なめにあい周囲にも迷惑をかけるかもしれないと(過剰に?)恐れているからです。

失敗談をまとめて「車椅子のオストメイトの生活」の現実を知ってもらおうとオストメイトの全国団体公益社団法人 日本オストミ―協会」様に原稿をおくったところ機関誌に掲載していただけました。今回はその内容に参考写真を加えてご紹介したいと思います。

 

オストメイトで車椅子生活をやっています

 

(1)人工肛門は下半身不随の人より便利な状態なのですか? 

昭和の時代、事故のよって脊髄損傷(背骨の骨折)になると共に肛門括約筋を同時に失ってしまいました。最初のうちは内臓がなおるまでのバイパスだと説明をうけていた人工肛門(ストマ)も下半身の神経がもどらず、括約筋も機能しないのではどうしようもなく、一生涯の付き合いとなり、オストメイト人工肛門という内部障害と脊髄損傷・下半身機能全廃という肢体・外部との複合障害者としての生活をおくっています。

 ところが脊髄損傷等の車いす利用者仲間にいわせると、この人工肛門というものは意外と便利な状態といわれて?当事者の私にはとてもそのようには感じられないのですが、その理由は次のようなことのようです。

①便座に乗移らなくても用がたせる。

2ピース(台と袋を取り外せるもの)使用の人工肛門の場合、袋をとりはずして、中身を便器で流してしまえば終わりであるが、自然肛門の車椅子利用者はこうはいかない。そしてこの車椅子から便座への移動はたとえ身体障害者用トイレであってもたいへん体力を使うということらしい(なにせ私には経験のないことですので)。

ツーピースタイプのパウチ(袋)

②浣腸等をする必要がない

脊髄損傷になった場合、状態によっては排便も自分の意思では出来なくなり、数日おきに浣腸、テキベン(便をほじくり出す)などのケアが必要となるらしいが、人工肛門にはそんな面倒なことはない。

このような訳で私は脊髄損傷などの車椅子利用仲間から便利ですねえ、なんていわれた経験もありますけども、本当のところはどうなのでしょうか?自然肛門での車椅子生活しか体験がないものですから私には比べようがないのですよ。

 

(2)車椅子での人工肛門はその場から逃げられないからピンチの連続

 人工肛門オストメイト方なら多かれ少なかれ体験されたことがあると思もいますが、突然大量の排便が起こりUNK0まみれになってしまうことがありますよね。このような状況を表現する適当な言葉が思い当たらなかったので、「UNKOがたくさんでてこまる」のローマ字の頭文字をとって「UTK」と記すことにします。私がオストメイトになったころは洗腸をすることで防ぐことができるのと勧められていたのですが、車椅子のままで洗腸しようとすると2時間ぐらいかかってしまったり、またお腹に感覚がないため必要以上のお湯を入れてしまって体調をくずしてしまったりと生活に影響が出てしまい。洗腸したのに大量の排便があったりと効果がなかったりしてやらなくなってしまいました。

当初UTKは突然・所かまわず起こりました。仕事で接客中のときも(職場の配慮で復職できました)、車椅子用に改造した自動車を運転しているときにも、電車で移動中のときでも、せめていつ頃、どんな周期でUTKが発生するか予測がつけば対策はあるのですが、そのうえ私は車椅子利用者でもあるため、その場からはなれて一般のトイレに逃げ込んだりという対応ができず、周囲の人はどこか病状が急に悪化したのではないかと心配して追っかけてきてくれたりしたものの、私としては人目につかない車椅子で入れるあるていど広い所で一刻も早くUNKOのしまつをしたいのに~!(当時オストメイト対応トイレはどこにもありませんでした)ではそのような実例をいくつかご紹介いたしましょう。

 

<実例その1>職場への通勤途中でUTK発生、自動車から降りられない状況に(車椅子は後部座席からお腹の上を通して車外に引きずり降ろすのであるが、そのようなことをすればお腹に力が加わってパウチが外れさらに状況が悪化してしまう)。しかたなくUTKのまま運転をつづけ事務所の窓ギリギリに自動車を横付けして大声で上司に報告、「体調が悪くなったので、いったんこのまま帰宅します」。上司は「具合が悪いのなら運転は危険だから、事務所で休んでいったらどうだ?」。それができるくらいならこんな苦労はいたしませんよ!

改造自動車(下半身不随の場合)の一例

(参考)足が不自由な下半身だけの障害の場合、アクセル・ブレーキをそのまま残し手動で連動するレバーと旋回装置を設置すれば運転が可能なため、自動車の改造は意外と簡単でした。

 

<実例その2>車椅子を押してもらう介助を友人にたのんでお城の庭園巡りへ、ところが入場の直前にUTK発生、この日は運悪く電車を使って出かけていたため、自宅に救援の車をもとめる(UNKOまみれになったので自動車でむかえにきてくれ!というSOS発信)、すでにタクシーやその他の公共交通機関を利用できるような状況ではなかった。介助の友人には詳しいことは伝え難かったので「迎えがくるまでに観光しましょうよ、ずっと車椅子を押してあげるから」というわけで自分の荷物まで私に預けて庭園めぐりをしてくれた。私のズボンはすでに運國祭状態だったし、荷物をひざの上に置いたりしたら大変だし、友人には気づかれたくないし、でもそれを承知で日ごろ外出できない私を楽しませてくれようと気づかぬふりをしてくれているのかもしれないし。このようなときは本当に自分のからだが恨めしい、せめて車椅子だけの障害であったら良かったのにと思う。これでもやっぱり脊髄損傷者の人工肛門は便利なのですか!?

エレベーターのない頃の駅でホームからの仮設スロープで降ろしてもらい、
近くのお城の庭園めぐりを楽しみにしていたのに・・・

 

私はオストメイトで車椅子生活です。だから外部障害者の苦しさも、内部障害者としての辛さも味わってきました。外見からある程度判断できる外部障害者に比べて内部障害の事はほとんど理解されないし、下手をすると「休む口実にしているのでは」とか「元気なのにサボっているのでは」と誤解たりと外見からは健康そうに見えるだけに実際の体調とのギャップに苦しめられますね。

 

 

 

車椅子電車評論家・アシトド松井(オストメイト兼任障害者)

 

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