アシカなくてもトドまらず

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遊園地(テーマパーク)のアトラクションに車椅子で乗りに行く・バリアフリーの諸問題

遊園地のアトラクションに車椅子で乗りに行く

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車椅子電車評論家・アシトド松井

 

2023年、車いすユーザー3名と介助者1名による特別クルーを結成、東京都荒川区にある「あらかわ遊園」で乗り物体験を行いました、今回はアシカさんとトドさんの対談形式でお楽しみください。

 

遊園地の子ども向け乗り物・バリアフリーの現状

(1)子ども用車いすの利用者が楽しめる乗り物をもとめて

<トド>特別クルーを結成して遊園地に行ったとは、また大層なお話で。東京観光の途中で寄り道されたのでは、乗り鉄のアシカさんは路面電車でもある「都電荒川線」が目的だったのでは?

<アシカ>それもあったのですが、東京を案内して下さった地元の電動車椅子の方が、ぜひ見てほしい設備ということで行程に組み入れてくれました。私自身も「子ども用車いすの方とお逢いする機会が何度かあり、そのような立場のお子さんが楽しめる場所に関心があったので、遊園地をとりいれた旅行プランに乗っかることになったわけです。

 

旅行先でも観光そっちのけ。子ども用車いす利用者に「外出の楽しさ」を提案するブログの案内を手渡す。

本文とは関係なさそうなのに、どうして上のような写真を掲載したんでしょうね?

一種の売名行為でしょう!

 

<トド>「子ども用車いす」とは、どういうものなのですが?

子ども用車いす(周知用ポスター)

<アシカ>単純に脊損の私たちのように歩行障害のあるお子さんが使っている「車いす」と理解しているのですが、ベビーカーと見分けがつかない場合があり、電車内で折りたたむようにと注意されて若いお母さんが傷ついてしまうこともあるそうです。また医療的ケアの必要なかたもおられて機器を乗せた重い車いすもあり、簡単に押し上げることが出来ず、電車などに乗り込む際に渡し板が必要な場合もあります。駅に周知ポスターが貼られていましたので、このような立場の車いすの利用者仲間がおられることを、理解しておいても良いと思いますよ。

 

<トド>あらかわ遊園では車いすユーザーがどのような乗り物に乗れるのですか?

<アシカ>「観覧車」「豆汽車」に車いすに乗ったままで利用体験できました。点検中で止まっていたのですが「メリーゴーランド」もスロープ板を渡してもらって、カゴの一部を広げてもらって利用できるそうです。では3つの乗り物の写真をご紹介しましょう。

 

あらかわ遊園 メリーゴーランド

実際に利用していないので、詳細は不明ですが、体験された地元電動車椅子の方から、回転する床にスロープを渡して、カゴが広げられると案内を受けました。

回転する床にスロープを渡す?

床にレールがついています

 

あらかわ遊園 豆汽車

スロープ通路で乗り場に、車いすスペースのある車両に渡し板で乗車できました。遊園地の鉄道ですがですが、私の地元の鉄道よりバリアフリー!?

園内をめぐるミニ鉄道、豆汽車

渡し板で車両にご案内

 

あらかわ遊園 観覧車

ゴンドラにスロープ板を渡してもらい乗ることができました。介助者が同乗することをもとめられたので、「合理的配慮」について問題提起が!

スロープ板を渡してもらいゴンドラへ

介助者と同乗することを条件に観覧車が動き出しました

(3)遊園地の乗り物で合理的配慮がどこまで可能なのか

<トド>③の観覧車の説明で「合理的配慮」の問題とはどのようなことですか。

<アシカ>私が全国各地の観覧車に介助者なし車いす単独での利用経験があることをご存じだった地元電動車の方が、「車いす利用者」であるから一律に介助者の同乗を求めるのではなく、個別の障害の程度によって対応するべきだという指摘をされたのだと理解しています。運営にかかわっている自治体の窓口に問題提起をして下ったそうです。

調べたら知的障害の方が遊園地のアトラクションの利用を拒否されたケースで「法務局の人権相談窓口」調整に入り「一律に制限するのではなく症状を個別に判断する」ことに遊園地の規定改定していただき解決した事例がでてきました。車いす利用者の場合も同様な規定の改定が可能かもしれませんね。(障害者差別解消法を参照するらしいのですけど・・・私は車いすでの電車評論が専門ですので良くわからない~) 

するい 逃げ口上

(参考)法務局による人権侵犯救済のための処置には 援助 調整 説示・勧告 要請 通告 告発 啓発 などがあるそうです。

<トド>遊園地の子ども向け乗り物というテーマから話がそれてきましたね、元に戻しましょうか。

(4)他の場所ですが、このような乗り物・アトラクションを体験しました

<アシカ>私が体験した子ども向けで車いすのままで利用できる乗り物・アトラクションを後2つ紹介しますね。なお利用してからずいぶん時間が経過していますので、現在の状況は確認してくださいね。

 

東京ディズニーシー キャラバンカーセル (千葉県)

2階建てのメリーゴーランド。

1階の回転する床にスロープ通路を設置してもらい、華やかな囲い?にベルトで固定していただき利用できました。

(利用年月不明です)

スロープ通路を設置していただき回転する床へ

ただ回っているだけという人もいましたが、被写体は結構喜んでいる?

 

パルケエスパーニャ フェスタトレイン  (三重県)

私が車いす生活になってから初めて乗ったミニ鉄道。大人が車椅子に座って乗車するには屋根が低く感じましたが、童心に戻って楽しめました。

(1998年乗車体験)

スロープ通路でホームに到着

小さな渡し板で車両へ 車両とホームの段差解消も見事なもの

 

<アシカ>子ども向けに限らず他に体験した主な乗り物・アトラクションは次のようなものです。⑥愛知県の蒲郡市にあるラーグナテンボスでマジカルバウダーというアトラクションに自分の車イスのままで移送するワゴンに乗せてもらえました。

⑦固定するため専用の車いすに乗り換える必要があつたのですが、デイズニーランドの

ウエスタンリバー鉄道、エレベーターで乗り場へそして車両側面の入り口を広げてもらって利用できました。下の写真ウエスタンリバー鉄道への車いす乗客への案内のようす。渡し板までウエスタン風の木目調につくられているのがディズニーのこだわりですね。(利用年月不明)

渡し板が木目調につくられているのもディズニーらしい

⑧ 大阪にあるUSJのジョーズ(自分の車いすで乗れるが付き添い者が必要)、急流すべりのジェラシック・パーク・ザ・ライド(座席が上がってくる特別な船に車いすから乗り換える、付き添い者が必要)を利用しました。絶叫系のアトラクションを車いすで利用することは乗り換えすら難しく、私はこの一例しか体験していません。

USJジェラシック・パーク・ザ・ライド(急流すべり)
ボートの座席の一部がせり上がり車椅子から移乗をしやすく工夫されていました
(青の矢印の部分)

私の使用したときの状況(かなり古いものもあります)で説明していますので、詳細は各テマーパークのホームページ等で確認してくださいね。特にディズニーランドは動画で車いす利用の状況を紹介されていて分かりやすいものでした。

 

(5)なぜ車いすのまま乗れるのに介助者がもとめられるのか?

<トド>特に利用するのに問題がなさそうな乗り物に付き添い者が求めれられているように思うのですがどうしてですか?

<アシカ>非常時に停止したのちに非常通路(階段がある場合も)を使って外に出られるか、という問題があるからだそうです。実際にアトラクションが停まってしまい一般(健常者)の利用者ですら脱出するのに長時間かかった場合があります。

<トド>話を戻しますが観覧車なんか停止したら一般の利用者でも出られないでしょう。

<アシカ>それは一時期、介護施設のリクレーションで、アトラクションを利用した知的障害の方が、パニックを起こされ無理に降りようとした事故が続いたことに関係していると思います。一律に車いす利用者も同様の問題を起こすのではないかと心配され単独でのゴンドラへの乗車が制限されたのでは、事故は起こってほしくないでしょうし。またマイノリティ(少数派)の場合はひとくくりに判断されることが多いようにも感じています。

 

(6)お母さんが車いすユーザーで小さなお子さんと観覧車に乗りたいとき

<アシカ>観覧車への車いすユーザーの利用規制は遊園地によってまちまちで、大阪の海遊館近くの大観覧車のように、当初は単独利用が認めれていて、長い間介助者の同乗を求められ再び車いす単独で乗れるようになったケースなど。そのときの障害者に対する社会情勢・経営者の判断により、揺れ動くこともあるようです。現場のスタッフの方はマニュアル通りに仕事をしなければならない立場にありますので、現地で交渉することは難しいですね。小さなお子さんの場合は介助者として認められないと考えられますので、事前に利用条件等を確認されたほうが無用のトラブルを起こさずに済むとおもいますよ。

<トド>アシカさんもすっかり物わかりの良い障害者をやってますね!

 

経営難で遊園地の数が少なくなっているなか、車いすに対応した子供向け乗り物を三種類ももうけていただいた「あらかわ遊園」の取り組みは高く評価して良いと思います。

(ご注意)本文では「付き添い者」と「介助者」を同じ意味の言葉として使っています

 

 

この記事は「脊損ニュース2023年12月号」に掲載していだいた内容をもとに加筆修正したしたものです。

 

遊園地のミニ鉄道も乗り鉄にとっては同じ興味の対象 鉄道には違いないじゃろぅ~!

車椅子電車評論家・アシトド松井

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