アシカなくてもトドまらず

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なつかしの車いす鉄道旅行 駅・荷物用エレベーター利用の想い出 (鉄道マニア向け図鑑・番外編)

JR天理駅ホームには一般乗客用エレベーターと閉鎖された荷物用エレベーターが残されていました(2024年撮影)

JR天理駅の荷物用エレベーターを利用したことがあるのですが、内側はジャバラ扉を手で開けるという歴史的に貴重な構造でした(残念ながら写真は残っていませんでした)。

 

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車椅子電車評論家・アシトド松井

 

今回は、僕たちのバリアフリーは荷物用エレベーターだったシリーズ「駅・荷物用エレベーター利用の想い出」です。電車に乗るとき駅のエレベーターで、ベビーカーを押す人や一般乗客の方と日常的に順番待ちをしている都市部の車いすユーザーの皆さんにとっては、いつの時代の話だと思われるでしょうが、私が車椅子利用者の仲間入りをした1990年代前半、一般乗客用エレベーターはわずかしか設置されておらず、残っていた荷物用エレベーターの設置(稼働)情報を得ていることが鉄道旅行をするためには重要なことでした。

アシカさんトドさんの対談形式でお楽しみくださいね。

 

<トド>都市部では車椅子単独で利用できるように駅のホームと車両の段差解消や、ホームゲートの設置が進んでいる今日、アシカさんたち大昔の車いす鉄道旅行マニアの思い出話ですか。

<アシカ>まあ、そうなのですけど駅に乗客用エレベーターが設置されるまでは、ずいぶん回り道をしていたことを知っていただくことも良いと思いますよ。まずは1990年代のJR東京駅の写真をご覧いただくところから、話をすすめましょう。

❶JR東京駅の荷物用エレベーター網は複雑怪奇

(イ)新幹線ホームの荷物用エレベーター

表示が当初の「業務用」から、いつしか「車いす用」と変わりました

(ロ)駅南側口がわホームの下の業務用通路

煉瓦造りの美しい通路が八重洲口側(奥に写っているミラーの横のスロープ通路を下る)に行くと物流倉庫のように一変しました

駅員さんの介助を受けるため、車いす利用者の待合室が丸の内南口に設けられていてそこに来るように指示があり、そこから近くの左右の煉瓦が電球で照らされた美しい業務用通路に案内されていました。ただし八重洲口方向の新幹線ホーム側に行くと風景は一変、物流倉庫の中を移動しているような雰囲気に変わりました。

(ハ)業務用通路側面の煉瓦のトンネルから荷物用エレベーターを利用

レンガ造りの通路からへ荷物用エレベーターを使って地上(厳密にいうと高架なんですけどここでは空が見えるという程度の意味)の在来線のホームへ

(ニ)駅の丸の内側のロータリーにあった建物

地下ホームとつながっていて、ここに出てきました

 

東京駅の地下深くにある総武横須賀線ホームから案内してもらったときは何回も扉の内側の隠しエレベーターを乗り継いで、一般の改札口はずいぶんはなれた丸の内側のロータリーに出てきました。また京葉線に乗り換えるときにはいったん駅から道路にでて国労会館(当時)などの前を横切り全く別の建物から地下深くのホームへとエレベーターを乗り継ぎました。まあ京葉線地下ホームは半分ぐらい隣の有楽町駅側に行った場所につくられていますので一般乗客用エレベーターが整備された今でも乗換はたいへんですね。

 

❷JR秋葉原駅車いすルート 夜は暗くて心細い

<アシカ>あと少し時代がすすみますが2003JR秋葉原駅で利用しましたが、山手線などの上を走る中央線のホームにつながっており、東京方面の電車に乗るため車椅子対応エスカレーターで下ってゆきましたよ。

(イ)JR秋葉原駅の橋上ホームへの荷物用エレベーター(2003年利用)

荷物用エレベーターが伸びているのが写っています(写真中央からやや右側)

(ロ)暗いところにあつたJR秋葉原駅荷物用エレベーター

周辺は猫の鳴き語が響き、上がると駅の売店の横に出てきました

(ハ)東京方面ホームへは車椅子対応エスカレーターで

車椅子対応エスカレーターは重要な昇降手段でした

❸JR博多駅の荷物用エレベーターでは突然「歩み寄る乗客」が!

<アシカ>JR博多駅の荷物用エレベーターは、ずいぶん改札口とは離れたところにあり手動車椅子でたっぷりリハビリ?できましたよ。

(イ)JR博多駅ホーム端に荷物用エレベーターが稼働していました。(1997年利用)

JR博多駅の荷物用エレベーターは多くの駅がそうであるように郵便局側に

(ロ)扉には障害者のための国際シンボルマークが貼ってありました。

この頃は車いす利用者は使っていいよ、という意味なのか荷物用エレベーターにこのような表示がされている駅が多くありました。

<トド>博多駅在来線ホームの荷物用エレベーターを使おうとしたら突然、他の乗客が入ってこられたそうですね。

<アシカ>私の誘導・介助についてきて下さった駅員さんに「私も障害者だから使わせてもらいます」と手帳を表示されようとして乗り込んでこられました(駅員さんは私の介助を優先されたのか手帳は確認されませんでした)。なにぶん改札口を通らない業務用通路につながっていましたので、その後はどうされたのか分かりません。私は歩くことはおろか、立つことも出来ず「車椅子に縛られたような」障害者生活をやってきましたので、ついつい「立って歩ける人は健常者」と思い込んでいて、エレベーターを必要とするのは車椅子ユーザーだけではないのだと考えさせられましたよ。

 

三ノ宮駅(神戸市)のエレベーター再設置には10年の歳月が

<トド>1995阪神淡路大震災でJR三ノ宮駅の荷物用エレベーターが倒壊するのですが、その後、一般乗客用エレベーターが設置されて復興するのですか?

<アシカ>三ノ宮駅が造りなおされ運行を再開した時には車椅子対応エスカレーターになります。一般乗客用のエレベーターが設置されたのは2004になってからです。

(イ)JR三ノ宮駅の荷物用エレベーター(1993年撮影)

三ノ宮駅の荷物用エレベーターは1995年1月の阪神大震災で倒壊します

 

(ロ)1995年6月撮影 復旧工事中のJR三ノ宮駅ホームのようす

三ノ宮駅の復旧工事(後方のビルには震災の傷跡が)

1995年の阪神大震災からしばらく後に始まったJR三ノ宮駅の工事で一般乗客用エレベターが設置されるのでは、と期待した私は震災の厳しさを知らない愚か者でした。

 

ハ)2004年に一般乗客用として復活したJR三ノ宮駅のエレベーター

震災から10年近く経過した2004年に設置された
一般乗客用エレベーター(写真は2022年撮影のものを利用)

<トド>社会全体に災害や戦争等で余裕がなくなれば、障害者福祉など無くなってしますのは歴史の教訓ですが。それだけ震災からの復旧は困難だったのですね。

<アシカ>ところが隣接する地下鉄の駅などの復旧工事状況などと比べると、全く違う対応のように見えてきます。当時の鉄道会社🔵🔵は駅に乗客用エレベーターをつけるのが嫌だったのではないかと思えてくるのですよ。(伏字になってないぞ~!)

震災で亡くなられたり怪我をされたりした方には配慮していない、「バリアフリー」という面からだけの震災復興の記事になって申しわけないのですが。車椅子利用者に対する復興は何年ものちに最も遅くやってくるように感じました。

 

(ニ)大勢の一般乗客用に必要とされるJR三ノ宮駅のエレベーター(2023年撮影)

JR三ノ宮駅のエレベーターにできたベビーカー利用者さんの長い列

エレベーターを待ちじれず、ベビーカーを担いで階段を下りる方も

<トド>ところでホームのエレベーター前にベビーカーがいっぱい並んでおられる状況は、どういうことですか?

<アシカ>2023年におこなわれた神戸まつりに「ミッキーマウスなどのディズニーのパレード」があるというので、最寄のJR三ノ宮駅に若い親御さんが小さなお子さんをベビーカーに乗せて電車で押し寄せたのですよ。駅は混んで危ないし、エレベーターの順番を待てずにベビーカーを階段で担ぎ下ろす方が続出。数年前、別の駅で階段を担いでもらっていたベビーカーのお子さんが階段から落ちてしまった事故もあったので、危なっかしくて見てられませんでしたよ。

<トド>どうやらアシカさんも「パレード」を満員電車に乗って車椅子で見に行っているのでしょう!人のことを心配できる立場ですか!

<アシカ>旗色がわるくなってきたので話を変えますが、観光地やターミナル駅のホームのエレベーターでも11人乗り・車いすをつめて二台が乗れる程度の大きさしかなく、狭い。荷物用エレベーターを残してくれていれば大勢の乗客を一度に乗せられたのに~

<トド>京都駅などでも大きなトランクをもった海外からの観光客・ベビーカー・車椅子ユーザー・お年寄りが一つしかない小さなエレベーターに殺到していますね。今から思うと残念ながら駅へのエレベーター設置運動をしている時代に利用者の増大を予想した「大型のもの」という話は出ていなかったように記憶していますね。

 

名古屋駅の荷物用エレベーターでの乗換は場所がさっぱり分からない

<アシカ>高架のJR名古屋駅(関西線ホームには荷物用エレベーターはありませんでした)と地下に改札口・ホームがある名鉄名古屋駅(以前は新名古屋駅という名称)と近鉄名古屋駅の荷物用ホームを使っての乗換は場所が離れていて、名鉄は百貨店の荷物搬入口とおもわれる事務所の中にホームからのエレベーターがつながって、近鉄はどこが駅方向なのか分からないような他の駅からは離れた道路に面した建物の内部に出てきました。一般乗客が使うわけではないので「案内表示」はなく、駅の周辺の地域を車いすでオロオロしていました。

 

(イ)JR名古屋駅の荷物用・車いす専用エレベーター

JR名古屋駅在来線ホームの荷物用エレベーター

 

新幹線ホームには車いす専用エレベーター(改札口を通らない)がありました。

JR名古屋駅・新幹線下りホームの車いす専用エレベーターはホームの下の専門店街の入り口にあり、一般の改札口を通らず、上りホームにつながるものは駅事務所の奥にありました。

なお在来線の荷物用エレベーターと隣接した位置に新幹線ホームへの荷物用エレベーターもありそちら側を利用させてもらうこともありました。

 

(ロ)名鉄名古屋駅新名古屋駅)の荷物用用エレベーター

名鉄名古屋駅新名古屋駅)の真ん中のホームの荷物用エレベーターに乗せてもらうと

 

名鉄百貨店の荷物搬入口と思われるところにでてきました。

 

近鉄名古屋駅の荷物用エレベーターの写真は残されていませんでした。

 

<トド>いろいろなエレベーターに乗っていますね。アシカさんのことだから、荷物用エレベーターに案内されたら「どうせ私は社会のお荷物ですよ」とか言って駅員さんを困らせたんでしょうね。

<アシカ>いえいえ、私は健常者時代、物流の仕事も経験。搬入作業を終えた後の段ボール等を荷物用(時々お客様用)エレベーターで運び出すことを日常的に行っており、人が運ばずに荷物がエレベーターを上り下り出来ないことぐらいは分かっているつもりですよ。

 

 

(ご注意①)この記事は駅がバリアフリー化される以前の回顧録 です。記載された駅の全てに一般乗客用エレベーターが設置されています。(わかりにくい所もありますが)

(ご注意②)「荷物用エレベーター」と紹介していますが国鉄時代に広く行われていた鉄道郵便のために利用されていたのではと考えています。 

 

鉄道マニアの中には廃線跡をめぐられる方もおられるそうですね。だったら失われてしまった駅の荷物用エレベーターを懐かしむサイトが有っても良いのではと思うのですが。  

変ったことを考える車いすの鉄道マニアですね!

 

車椅子電車評論家・アシトド松井

 

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